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東京でお仕事されている関西系クリエーターのみなさん、2007年あけましておめでとうございます。
昨年は福田コマ劇場をご愛読いただき、ありがとうございました。
新しい年を迎え福コマも少し姿を変えて、僕の恥多き日常の出来事をプチ小説仕立てでお届けします。
新装開店の福田愛の劇場をどうぞごひいきにたのみます。
直木賞とったら酒おごりますわ。 |
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「ピンク色の巻き寿司」
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「ニューヨークに行きたいかあっ!!」
とクイズ番組の司会者が大声で叫ぶので、男は格安のツアーを申し込んだ。
「東尋坊に行きたいかあっ!!」と叫んでいたら、民宿ニュー越前のかにチリ鍋プランを予約していただろう。
仕事漬けの日々にうんざりしていた男は、会社に休暇届を出し、あっさり受理された。
出発の朝、伊丹空港のロビーに集まったツアー客は、男を含めて4人だった。
老人男性と30才くらいの気の弱そうな男、そして、なぜか女がひとり。
成田経由で約13時間のフライトの間、4人はあまり会話をしなかったが、老人は元印刷会社勤めで、気の弱そうな男はドクターのたまご、女は大学の図書館員だった。
長時間座席にへばりつきで、エコノミー症候群のことが気にかかっていた男に
「わし、ソ連の軍用機みたいなのに乗ったことがある、イス直角やった」と老人が話しかけてきたが、男は無視をして椎名誠の「さらば国分寺書店のオババ」を読んでいた。
気温マイナス10度。真夜中のケネディ空港に着いた4人はマイクロバスでホテルに運ばれた。
クリスマスイルミネーションに飾られた極寒のマンハッタンは美しかったがひっきりなしに、パトカーのサイレンが鳴り響いていた。
男は興奮していた。
チェックインの時に「何かあったときのために一応ね」と図書館員の女が言い出したので、お互いのルームナンバーをメモって4人は部屋に散っていった。
眠る間もなく夜が明け、熱いシャワーを浴びた男は、ホテルを出て早朝のマンハッタンをあてなく歩きだした。
気が付くとスケートリンクのようにガチガチに凍り付いたセントラルパークの池の真ん中に立っていた。
男の頭の中にスティングの曲が流れていた。
その時、後方でパトカーのサイレン音がした。
「おっ、これは近いな。殺人か、強盗か…う〜ん、これぞ犯罪都市!ニューヨーク!!」
振り返ると2人の警官が「Hey you 氷り割れたら危ないからそこDo not enterよ!」と叫んでいるのだった。
男はゆっくりと両手を降ろした。
夜、ホテルに帰って来た男は酒が飲みたい気分になったので、ダメもとで図書館員の女の部屋に電話をした。
「こっ、こんばんは。ボ、僕です。よかったらこれからBarで一杯やりませんか、いやっ実は昼間おもしろそうな店を見つけたんです。夜の街もスリリングでおもしろそうだし、女性だけじゃ物騒だし、ボディーガード兼ってことで、こう見えても僕は…何だったらもうひとりの気の弱そうな男性も誘って…」
「よろしくね、ふたりっきりで」
あっさりOKだった。
ふたりは少しの間、もうひとりの気の弱そうな男性のことを
「あの人、何か不気味な感じだな」
「変態ぽいね」
「メリヤスのパッチはいてそう」
「そうね不細工ね」みたいな話しをし、20分後に待ち合わせの約束をした。
人気のないロビーで男は女を待っていた。
エレベーターから降りてきた女は時計を見たりコートの襟を直したり、男に気付いていない様子だった。
男は女に近づき「こんばんは」と声をかけた。
すると女が言った
「あらっ、こんな時間に何してるんですか…」
女は20分前の電話の相手が、もうひとりの男、つまりドクターのたまごからだと勘違いしていた。
という事は「メリヤス」とは…
「いや、腹が減ったから近所のコンビニに…」
12月25日午前0時30分。
ホテルの部屋で男はひとりでピンク色の巻寿司を食べていた。
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