化粧コテコテのブキミな中年女が、俺の目の前に立ちはだかり、こう言った。
「あたしの事おぼえてるう〜」俺はその女に見覚えがなかった。
「ルーシーよお〜ほら」女は胸をはだけた。
谷間の中央にイカリの入れ墨。
俺はその女を思い出した。
それは、俺がまだ若い頃、たまたま飲み屋で隣り合わせた女だった。
極貧生活を送っていた俺は、ルーシーに身の上の事や夢の話しなどをした。
「アンタがんばんなさいよ。いい男なんだから」
ルーシーはよく話しを聞いてくれた。
その夜、俺はルーシーと寿司屋に行き、バーを何軒かハシゴした。
そして記憶を失った。
翌朝、俺はひとり、ホテルのベッドで目を醒ました。
枕元の短い置き手紙に店の名前が書かれていた。
「9月まで東洋ショーにいます。いつでも楽屋に遊びに来てね」
ルーシーはストリッパーだった。
「ねえ〜観にいこ〜およ〜おん。リングサイドよお〜ん」
ルーシーは2枚の紙切れを見せた。
それは格闘技の観戦チケットだった。
俺はルーシーに腕をつかまれたままタクシーに乗せられた。
次ぎの瞬間、俺たちはリングサイドの客席にいた。
ルーシーはずっと俺の腕にしがみついていた。
試合が進み、会場がにわかに盛り上がりだした時だった
「ちょっと待っててねえ〜ん」
ルーシーはふかふかの毛皮のロングコートを俺に羽織らせて、こつぜんと姿を消した。
「只今より〜本日のメインイベントを行います」
リング上でアナウンサーがで叫んだ。
「赤コーナー!チェ〜ホン〜マ〜ン!!」
スモークにおおわれた花道から巨人が姿をあらわした。
会場に、われんばかりの歓声がまきおこった。
「青コーナー!ルーシー・サターン!!」
俺は気を失いかけた。胸にイカリのマーク…。
会場はブーイングの嵐だった。
ゴングが鳴った。
チェホンマンがニヤケた顔で軽くグローブをあわせに来た。
次ぎの瞬間、巨人はリングの中央にあお向けに倒れたままピクピク痙攣していた。
秒殺…。
ルーシーの右ストレートがチェホンマンのあごを粉々に砕いた。
試合は14秒で終わった。
俺は再び気を失いかけた。
ルーシーがコーナーポストによじ登り、誇らし気に観客にイカリを見せつける。
俺は恐ろしくなって席を立ち出口に向かって走り出した。
するとルーシーはアナウンサーからマイクを取りあげて絶叫した。
「あの男を捕まえて!!」
俺はすぐに取り押さえられ、観客たちが次々に俺の上に織り重なって行った。
俺は息苦しさのあまり、そこで目を醒ました。
これが僕の初夢です。
2009-01-16 |